庭師の樹木図鑑(サンゴジュ編 サンゴジュの特徴と生け垣の手入れの方法と剪定方法)

お世話になっております🙇

庭の仕事を携わっているといろいろな種類の木を見かけます。それが見慣れているものだったり中々見ないものだったりと現場によって様々です。

今回はお客様宅で見かけたサンゴジュという樹木について紹介していきます。

サンゴジュは樹皮が灰褐色で皮目が多く、荒いのが特徴で葉は長楕円形で、縁に小さくまばらな鋸歯(葉の縁にあるギザギザのこと)があります。光沢と厚みのある革質で、枝から折り取ると白い綿毛が出ます。

何故サンゴジュというのかということですが、秋に真っ赤に熟す果実が柄まで赤く、この姿をサンゴに見立ててこの名がついたといわれています。

サンゴジュは庭木として単体で植えられるケースもあれば生け垣のように列植して植えることもあります。

というのも、サンゴジュは防火・防風・防音の機能を有する樹種(防火樹・防風樹・防音樹)としても知られていて、家を守る木として人気があるためこのような使われ方をします。

今回のお客様宅ではサンゴジュの生け垣を手入れしましたが、2年ぶりのため強く太い枝が伸びているなど荒れていました。

毎回お手入れ時には刈り込みで仕上げているのですが、このまま刈り込み鋏やヘッジトリマーを使うと枝が太すぎて刈り込む事が出来ません。

まずは太い枝をノコギリや太枝切り鋏などで取り除くことが重要となります。

仮にこのまま無理やり刈り込みを行うと鋏が欠けたり、トリマーが故障するので注意しましょう。

このように赤○で囲まれた枝が太い枝となります。この枝を元で抜くという作業が必要となります。

毎回刈り込みでの作業なのである程度の輪郭線は出ているのでそれよりも出ているので分かりやすいと思います。その枝を元までたどり、ノコギリや太枝切りで取り除きます。

何故太い枝を優先的に取るのか?

1.太い枝がなくなることで刈り込み作業がしやすい

太い枝が混ざっていると上記のとおりハサミもトリマーにも負荷がかかり、効率も悪くなります。細い枝のみになることで楽に刈り込み作業が出来るようになります。

2. 来年以降の木の伸びが押さえられる

太い枝はどんどん成長していく特性があり、残しておくとどんどん枝が大きくなっていきます。取り除くことで細かい枝が残るので太い枝を残したときよりも、養分が各枝に分散されるため伸びが緩やかになります。

太い枝を取り除いた後は刈り込み鋏とヘッジトリマーで刈り込み、整えていきます。

トリマーを使って仕上げる際には注意点があります。

1.高速で刃が動くので絶対に手などを近くに持ってこない

生け垣などを刈り込むときに角度などの関係で手の位置が刃に近かったりする場合がありますが絶対に刃から離してください

2.刈った後は切り口がちぎれたようになり見た目が汚い

トリマーは刃が高速で上下運動するため刈ったときに枝葉をちぎるような感じになります。そのため切り口が汚くなってしまいます。

赤○のように切り口が汚く残ってしまうのがトリマー刈り込みの難点になります。

この場合は切り口を剪定鋏で切って目立たなくします。

このように元の方で切ることで目立たなくなります。

特に側面はよく目立つので切り口を鋏で整えると綺麗に見えます。

刈り込みが完成しました。

ちなみにですが生け垣に適した木の条件として

常緑樹を使用する

常緑樹は、一年中葉っぱがついているため生垣に最適です。もしも、落葉樹を生垣に使ってしまうと、冬などの寒い時期に木が寒さや乾燥から身を守ろうとして葉っぱを落としてしまい、風や音、視界を遮ることができなくなってしまいます。

刈り込みに強い

剪定は枝を切って形を整えたり、風通しをよくしたりといった作業ですが、刈り込みとは単純に形を整える作業です。生垣は一般的に風や音、視界を遮る目的で植えているため、剪定ではなく刈り込みで形を整えます。ただし、一度に強く刈り込むため、刈り込みに強い品種の方が生垣に適しています。

病気・害虫に強い

生垣の場合、枝や葉っぱが密集していて風を通しにくくなっています。風通しが悪いと、病気や湿ったところを好む害虫が発生することが多くなります。そのため、病害虫に強い品種の方が生垣に向いているのです。

今回のサンゴジュは常緑樹で尚且つ刈り込みにも強いということで生け垣に適した樹木といえます。

まだまだたくさんあるので今度紹介していきたいと思います。